離れてなんかないから大丈夫。
スーパーで、迷子の3歳くらいの女の子が泣いていた。
大きな声で。
初めは何かお母さんに欲しいものを却下されたとかで泣いているのかな
と思っていたけれど
ウロウロと歩き回っている様子を見つけて、
迷子なんだな、と思った。
そのスーパーは大型店ではないので、
その子の鳴き声は店内中に響き渡っていて
彼女の親御さんは、自分の娘が泣いていることがすぐにわかったはず。
でも、どうも放置だったようで、彼女は一人でウロウロと
大きな声で泣きながら親を探していた。
声をかけるにはちょっとタイミングの悪いところにいたため
私は声をかけそびれていた。
一緒にいた母に
親御さん、これだけ泣いてる我が子の声、聞こえないのかな
と言うと
聞こえてるでしょう。大丈夫、と思ってるんじゃないの?
と母が言った。
泣いているのを聞きながら
このギャン泣きは私の泣き叫びだなと思った。
離れてしまった、居なくなってしまったと泣いている。
そして可笑しくなった。
私の母が、
親は大丈夫と思ってる、と言ったこと。
離れて居ない、とわかっている側は
大丈夫としか思っていない。
心配したり怒ったりしていない。
笑って、そんなに泣かなくてもここにいるよ、と思っている、と。
離れてしまった、いなくなってしまった、と思っている子(=私)だけが
どうしよう、怖い、助けてと泣いているわけだ。
なんだよ、まったく。
わかりやすく見せてくれるじゃないか。
ありがたさに私の方が密かに泣いてると、
彼女はいつの間にか泣き止んで店内からいなくなっていた。
小さな私、見せてくれてありがとう。